みなさま、お元気で新年をお迎えになられましたでしょうか?
私は、昨年10月に帰国後、年末に不注意にも風邪をひいてしまい、とうとう日本での年越しとなってしまいました。でも、久しぶりの日本のお正月、風邪気味ながらも、感慨深く過ごす事ができました。
今冬は、世界中が寒波に見舞われ、ヨーロッパも、日本も大変に寒いお正月に成ったようですが、私は、日本家屋の寒さに震えておりました。
さて、我が家では、毎年、父が青竹で一重切の花活けと取箸を作るのが、慣わしでした。今年は、私が日本で年越しと聞いて、父のお弟子さんだった松本破風さんが、お手作りの花活けと取箸を、送って下さいました。
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それぞれのお宅で、きっと新春の飾り付けをなさったことでしょう。松や竹の緑色、白玉椿の純白、千両万両の赤、金銀の水引など、目にも鮮やかな日本の色ですね。
西欧では、クリスマスが大イベントで、クリスマスイブの4週間ほど前から、飾り付けや、お菓子作りなどを始めます。昨今は、クリスマスが定着した日本ですが、古来12月13日を正月始めとして、やはり色々な準備を始める吉日としているそうです。
ドイツのお正月は、大晦日に花火とカウントダウンをするぐらいで、私は、子供たちのために、あり合わせの材料を駆使して、「御節もどき」を作るのがやっとのことでした。
暮れの、慌ただしい空気、台所から匂う煮物の香り。そして、元旦の晴れ渡り、引き締まった空気。北ドイツの暗く長い冬の元日とは、打って変わって、日本の明るい年の始めでした。
みなさまもお感じになることがあるかと思いますが、季節に香りがあること、それぞれのお家の香り、そして、国の香り、匂いというものがあります。
琅かん色の鮮やかさ、ひっそりと清々しい白玉椿のかすかな香りは、まさしく日本の新春を感じさせてくれました。
9月以来、しばらく筆が止まったままでおりましたが、新しい年になり、また心を引き締めて、色々な私の思いをみなさまにお伝えして参りたいと存じます。
昨年秋の講演会のこと、ドイツで開催された「籠師」展のご報告、また、途中になっております「真行草の姿」について、などなど、次回から、また宜しくお願いいたします。