2010年07月18日

七夕

  たなばたさま             作詞 権藤花代 林柳波 / 作曲 下総皖一

  tanabata.jpgささの葉 サラサラ
  のきばに ゆれる
  お星さま キラキラ
  金銀砂子

  五色の  たんざく
  わたしが 書いた
  お星さま キラキラ
  空から  見てる

 日本は、断続的な豪雨とか? 七夕の天の川は見るべくもなく、被害など最小限でありますようお祈りしております。と申しましても、現代では、七月七日に天の川を見られる確率は、大変少ないようです。本来の七夕は、旧暦七月七日ですので、ひと月遅れのわけなのです。現在も、日本各地では、旧暦で七夕祭りを行う所が多いようですね。

 c一年に一度だけ、相見(あいまみ)えることしか叶わない織女と牽牛のお話は、誰もが知るところですけれど、そもそもは中国から奈良時代に伝わったそうで、日本の「棚機津女(タナバタツメ)」の伝説と合わさった風習とか? お盆行事の一環であり、七夕は、棚機、棚幡とも書くそうです。

日本人なら、子どもの頃から親しんでいる、「笹の葉」に「五色の短冊」も、笹は精霊の依代(よりしろ)で、五色は、中国五行説の緑・紅・黄・白・黒をいうのだそうです。
 織姫、彦星の「星あい(七夕の別名)」のお話は、幼稚園などで聞かされ、そのままを素直に受け止めていました。
 我が家では、前日に、父がどこからか(その頃は竹屋か、花屋で毎年手に入った)笹竹を軒先に立て、短冊にお願い事を書き、笹の葉に結びつける時の様子は、小さな幼い手指と浴衣の袂、笹の葉の薄緑のさやぎ、紅や黄、白、空色など、五色に留まらずたくさんの色の短冊が風にたなびく・・・美しい情景として、眼の裏にはっきりと残っております。

 夕べに空を見上げても、すでにその頃でさえ、東京には天の川の見えるような空はなく、また大概は曇天か雨空だったと思うのですが、不思議と天の川を見上げている幼い自分の姿が浮かびます。「織姫と彦星は、無事に会えたのかしら?」幼心に、見上げた空には、たしかに天の川は見えていたのでしょう?
 七夕に降る雨を、催涙雨(さいるいう)または洒涙雨(さいるいう)という事は、後年知りましたが、雨が降り、天の川の水嵩が増して、逢瀬が叶わない時、二人が流す涙が地上のわたくし達に降りかかっているのかと思えば、この日の雨も幾分趣が違いますね?

 また、鵲(かささぎ)が、織女星と牽牛星を会わせるため、翼を並べて天の川に渡すという鵲橋も、漆黒の闇に輝き渡る星々の川に、黒味を帯びた羽毛の連なりが、一筋の橋掛かりを描く、儚く美しい情景です・・・

 このゆふべふり来る雨は彦星の早こぐ船の櫂(かい)の散りかも  (万葉集巻十)

 さて、七夕飾りの笹の葉は、精霊の依代(よりしろ)の意ということですが、この依代とは、古来、神霊が依り憑く目印のことだそうで、主に常緑樹の榊など、また神輿(みこし)・山車(だし)などのことも云うようですが、いけばなの起源をこの依代とする説があるようです。
多くの依代は、天空高く、垂直に立てられた形態を持ちますが、立花(たてばな)が原型とされる日本のいけばなは、世界のフラワーアートの中でも、「丸く」飾らない特殊性を持っているように思います。(このいけばなの形態の解釈は、フランスの作家で文化大臣も勤められたアンドレ・マルロー氏の「日本文化の垂直性」の考察においても、触れられておりますが、「依代」に関して言及があったかどうかは、定かではありません。)
また、依代の中には、髭籠(ひげこ)と呼ばれる竹ひごで作られたものや、薬玉(くすだま)など、竹に関連したものも、いくらかあるようでして、依代と髭籠についての考察は、国文学者、歌人でもある折口信夫(釈超空)の著にあります。

 しかし、学術的な研究もさることながら、やはり、竹の持つ、独特の美しさは、自然の中に神を見出す日本人の心に理屈抜きで沿うような、「分明(さや)けしき趣」を持つような気が致します。
 
   汲水に七夕竹の端しづか    皓火

 七月も半ばとなりながら、梅雨明けやらぬ日本は、殊の外、湿度も気温も高いようですが、北ドイツは、湿度こそ低いながら、連日35℃以上の酷暑が続いております。

 数年前の七月中旬、ギリシャ、地中海に浮かぶロードス島で十日ほど過ごした事があるのですが、連日40℃に届くかという、灼熱に近い空気は、めまいをもよおすほどで、白亜の石造りの建物の輪郭と水平線のくっきりとした風景と共に打ちのめされるような思いが致しました。
 
 いつもながら、「輪郭のくっきりとした風土」のヨーロッパで、今は、乾いた夏に何とか仁王立ちで、我が身を保たせながら、やわらかな笹のさやぎに思いを馳せるきょうこの頃です。

 来月は、いよいよ猛暑の八月の日本、どうぞ皆さま、お身体をおいとい下さいませ。どんなお話をさせて頂くか、たぶん、精霊のお話が相応しいかと・・・・?
 
でも、それは、しばし、午睡の後に・・・



※お知らせ
 
婦人画報9月号 8月1日発売 アシェット婦人画報社
特集「世界が見初めた竹しごと」

琅かん齋作 変竹盛籃 琅かん洞表紙掲載の花籃 掛花の三点ほか、何点かの竹籠が掲載されます。

posted by mari at 22:33 | 2010年